金縛りといえば、怪談やホラー映画などでもお馴染みの、あの怖い現象です。金縛りの症状は、日本だけでなく海外でも知られているようで、英語では「old hag syndrome」や「sleep paralysis」と呼ぶそうです。金縛りは、まさに世界レベルのミステリーといえるのかもしれません。
でも実際に金縛りを経験したことのない人にとっては、それがどんな状態なのかイマイチわかりませんよね。金縛りとは、具体的にどのような症状を指すのでしょうか。そして、何が原因で起こるのでしょうか？
金縛りとは？
金縛りとは、就寝中に突然、身体を全く動かせなくなる状態を指します。語源は仏教用語の「金縛法」を由来としているそうです。金縛りが怖いといわれる所以は、身体が動かないのに意識は覚醒している、という点でしょう。つまり、身体が完全に脱力した状態であるのを自覚しながらも何もできない時間が続くわけです。
さらに人によっては、金縛りの最中に別の様々な症状が現れます。幻覚や幻聴、息苦しいといった症状です。例えば、あたかも心霊現象が起こっているような幻覚、誰もいないのに話し声が聞こえるなどの幻聴、自分の身体の上に人が乗っていて息苦しい、といったように、何かと幽霊っぽい怖い現象が絡んでくるようです。
金縛りの前兆として、耳鳴りがあるといわれています。その際の耳鳴りは1～3kHzの音との事ですから、それが本当なら金縛りでの耳鳴りはかなり高音域です。ちなみに、1kHzは声楽ソプラノの最高音、4kHzはピアノの最高音とされています。他の前兆としては、独特の不快な圧迫感もあるようです。
金縛りを起こす原因・メカニズム
金縛りは、医学的には睡眠麻痺に該当し、原因は極度の疲れやストレス、睡眠不足、不規則な生活リズムなどであるとされています。また、寝る前に怖い話を聞いたり、スマホの画面を見続けると、交感神経が刺激され金縛りが起こりやすくなるそうです。
科学的な視点では、金縛りで幻覚や幻聴、息苦しいといった症状が起こるメカニズムは意外にシンプルです。金縛りが起こるのはレム睡眠時、いわゆる浅い眠りの状態です。この状態では身体は休息中ですが、脳は覚醒しています。レム睡眠時は、手足が勝手に動く感覚があったり呼吸を休止することがあるため、脳が幻覚や幻聴を作り出してつじつまを合わせているのだそうです。
でも、そんなメカニズムであったとしても、金縛りの状態で心霊現象っぽい幻覚や幻聴が起こったらやっぱり怖いですよね…。
金縛りの解き方・対策
金縛りの解き方や対策として有効といえそうなのが、とにかくリラックスすることです。金縛り＝交感神経優位の状態ですので、リラックスして副交感神経を活性化させれば、自律神経のバランスが取れ、自然に症状が消えるというわけです。
といっても身体は動きませんから、思考で対処することになるでしょう。面白いことを考えたり、楽しかったことや幸せな出来事を思い返したり…。リラックスできれば、幻覚や幻聴で作り出された心霊現象も消えるはずです。
もうひとつ、金縛りを解く方法といわれているのが、手足に力を入れるという対処法です。要するに、力技ですね。とにかく少しでも動かせれば、身体が目覚めて一気に金縛りが消えるそうです。
金縛りの原因は霊か睡眠麻痺か？
自分の体験談になりますが、一度だけ金縛りに遭ったことがあります。当時、150年以上も続く和式のホテルに勤めていたのですが、そこではよく怪奇現象が起こっていました。深夜、誰もいないロビーから「フフフ…」と女の笑い声が聞こえた、会議室の照明が勝手に点いたり消えたりしたなど、自分だけでなく他のスタッフも、あまり多くは語らずとも経験しているようでした。
特に印象的だったのが、夜勤の深夜、とある和室で仮眠をとっていたときに、自分のすぐ真上の空中から、話し声や何かを吐くような音が何度も聞こえたことです。朝、その部屋を出て初めて気付いたのですが、向かいに小さな鳥居がありました。オーナーいわく、その鳥居が「いつの時代からあるのかわからない」との事でした…。
そのホテルに勤め始めてから、自宅でも怪奇現象が起こるようになり、そのなかでもインパクトが強かったのが、深夜に収納の奥から「ドンッドンッ」と大きな音が聞こえた現象です。すぐに確認してみましたが、収納の中で何かが落ちたような形跡はなく、他に人の気配もない…。
金縛りが起こったのは、その後の就寝中でした。ただし自分の場合は耳鳴りなどの前兆もなく、幻覚や幻聴もなし。ただ意識がはっきりしていて、身体を少しも動かせない。「これが金縛りか…！」と驚いたのを覚えています。
金縛りを経験したのは、今のところそれが最初で最後です。なので、科学的に起こるものなら、条件が揃い次第もっと何回か経験するはずだ、とも思ってしまうわけです。個人的には、金縛りは睡眠麻痺の場合もあれば、人によっては心霊現象であるケースもあるように思います。